2-6 質問に答える

失敗例~メールを送っただけ?了解はもらえているの?

「では、顧客からデータをもらう件は、調整がついたということでいいのかな?」
上司の城市は、担当者の武下君に質問した。
「はい。ですので、先週、メールで依頼しています。」
ん?メールを送っただけ?了解はもらえているの?
「メールに対して返信はあったの?」
「メールの返信は来ていません。」
「では、調整中ということ?」
「こちらからは依頼済ですし、問題ありません。」
「問題ないと思うのは、なぜ?先方と何か会話ができているの?」
「いえ、こちらからは依頼済ですので・・・。メールではダメなのでしょうか。」
「ダメってことはないけど。電話して問題ないか確認しておいてよ。」
「承知しました。」

質問されたことに答える

 質問された場合、質問されたことを答えるようにします。
 「〇〇ということか?」という質問を受けたら、まず「YES」「NO」を明らかにし、次にその根拠を答えます。5W1H(What、When、Where、Who、Why、How)で聞かれたら、聞かれた要素を答えます。「いつか?」と聞かれたら日時を、「誰が?」と聞かれたら人を、「なぜか?」と聞かれたら理由を、それぞれ答えます。
 当たり前のように聞こえると思いますが、意外とできていないことが多いです。

YES、NOクエスチョンでは欠けている情報を埋めたい

 YES、NOで答える質問する場合に、質問の意図として多いのが、受けた説明において欠けている要素を集めて論理を埋めることです。上の例であれば、その前の説明で調整がついたかどうかが判別できなったので、「メールに対して返信はあったの?」のと、調整を裏付ける事実を探してます。
 説明する際に、ある事実を当たり前のこととして端折って説明してしまったことで、あなたがそう考えた経過や理由が、相手には伝わらないことがよくあります。こうした場合に、聞いている側は、どういった事実や状況に基づいて、あなたがそう考えているか、端折られている要素を探すために質問をしています。

説明を言い換えたYES、NOクエスチョン

 また、YES、NOを答える質問で、その前に説明したことを繰り返したり、別の言い方をして質問することが多いです。「それって、言い換えると、こういうこと?」といった質問です。
 この意図で、YES、NOで答える質問をする場合、説明している人の言葉や切り口が、聞く側の言葉や切り口とズレがあって、わかりづらい場合が多いです。このため、聞く側の言葉や切り口に置き換えて、同じ事象を説明するように質問します。自分の言葉、切り口で事象を捉えるとこういう理解なのだけど、それであっているのかを確認したいのです。
 この質問に対して、前の説明を繰り返したり、説明が伝わっていないと考えて情報を付け加えることは、あまり意味がありません。問題は言葉や切り口のズレなのに、同じ言葉で繰り返したり、同じ切り口で情報を付け加えても、ズレを埋めていくことはできません。話が冗長になり、かえってコミュニケーションを阻害することにもなります。
 ここでは、聞く側が質問で使った言葉や、質問の切り口を落ち着いて咀嚼し、自分が何を説明しているのかを再整理して、YES、NOを答えなければいけません。質問の意図がわかりづらければ、意図を聞き直した方がよいでしょう。
 説明する側と聞く側では、立ち場や専門性の違うことで、言葉や切り口が異なることはよくあります。このズレを埋めて、同じ事実をみて、同じ認識をもって合意に至ることが、仕事上のコミュニケーションにおいてとても重要になるので、丁寧な対応が求めれれます。

質問に対して変な言い訳はしない

 「では、この作業はまだ終わっていないということでよいか?」という、自身の作業が完了していないことの確認を受けた際は、終わったどうかを答えればよいです。
 しかし、こうした質問を受けたときに、自分は悪くないことを主張したくて、「終わっていないが問題ない」「ほかのことで忙しい」など、聞かれていない言い訳をしたり、怒られてもいないのに「すいません」と謝ってしまうことがあります。
 質問の論点をズラしてかわしたり、意図を先読みして先に謝ることもありますが、基本的には言葉通りに受け取って答えます。自分を正当化するために、会話が遠回りになってしまうことは、避けるようにしましょう。

「なぜ?」と聞かれても、責められているわけではない

 「なぜ?」という質問は、何か行動したり判断をしている際の理由を聞いています。説明を受けた情報からだけでは、何か要素が欠けていて行動や判断の理由がわからないと感じたときに聞く質問になります。
 よって、「こう言われたから」「こう考えたから」といった理由を答えればよいのですが、自分の行動や判断の間違いを指摘されたと受け取って、質問に反発してしまうことがあります。そうならないように、「なぜ?」と聞かれたら理由を答えることと、理由を答えられるように常日頃から考えておくことを習慣にして欲しいと思います。

成功例

「では、顧客からデータをもらう件は、調整がついたということでいいのかな?」
上司の城市は、城市は担当者の武下君に質問した。
「はい。先方の担当者と電話をして、詳細をメールしてくれれば対応すると話をしてます。そのあと、先週、メールで依頼しました。」
「メールした内容でうまく伝わったのかな?」
「不明点あれば、質問すると言っていたので、大丈夫だと思います。」
「了解。」