1-9 改めて相談は誰に行うのか

目的別の相談先の整理

 それでは、改めて相談は誰に対して行うのか、目的別に整理していきます。
 概要をまとめると下図のようになります。

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目的別の相談相手

① 技術的な目的。手段、方法を知りたい。

 これは、手段、方法を知っている人に聞くべきです。単に作業の仕方を知りたいのであれば、自分と近い立場にいて、似たような作業をやっていた人に聞けばよいですし、うまいやり方を知りたいのであれば、やはり、自分と近い立場にいて、その領域で成果をあげている人に聞けばよいです。
 技術的な話は、時間による移り変わりもあり、古い知識が役に立たない可能性もあります。また、現場作業について、上司に聞いたとしても、現場作業から離れている場合は、知らない可能性もあります。よって、自分に近い立場にいて、最近、自分と同じ壁にあたった可能性のある人に聞くことで、適切な回答を得やすいです。

② 人間関係的な目的。障壁を取り除き、味方を集めたい。

 まず、障壁を取り除きたい場合は、障壁となりえる人に相談します。何か案を思いついて、それを通していきたいのだけれど自信がないときは、その決定に影響力をもつ人を攻めるべきです。説明をして、もらった意見や指摘を取り込むことも意図することのひとつになります。しかし、それ以上に、案を作成する段階から関与してもらうことで、当事者として巻き込む意図の方が大きいです。これにより、いざというときに敵に回られるリスクを低下させていきます。もちろん、リスクをゼロにできることはありませんが、相談相手の意見を上手にたくさん聞くことで、リスクを下げておくことができます。
 味方を集める場合も、決定に影響力をもつ人に狙いを定めるべきです。やることは障壁を取り除く際と同じです。社内にライバルがいるのであれば、その人を巻き込んでしまってもよいでしょう。アイデアを盗まれてしまうことも懸念されますが、先に色々な人に相談しておいて、ライバルがアイデアを盗んで出し抜こうとしたときには、アイデアを盗んだことがわかるようにしておけばよいです。
 なお、いずれの場合も、尖った表現は避けて、角の取れたとれた言い回しをした方がよいでしょう。相談相手にしても、あなたに味方をすることで、ほかの誰かを敵に回してしまうわけにはいきません。アイデアは尖っていたとしても、誰かを批評して、敵をつくってしまうことを避ける表現を心がけるべきです。

③ 思索的な目的。新しいアイデアの取り込み、考えの整理

 自分にない新しいアイデアが欲しいのであれば、できるだけ自分と違う立ち位置にいる人を選ぶべきです。自分と近しい立ち位置と価値観をもっている人たちでは、同じ方向で話がまとまってしまいます。職位や分掌、年齢や性別、家族構成など、見ているものが違い、違う価値観をもっている人であれば、違う視点からの意見を求めることができます。
 考えを整理していきたいのであれば、頭の良い人を頼りましょう。整理するとは、順列、因果などの関係を明らかにし、それを構造化する作業になります。これはIQが高かったり、学力が高いといった頭の良さが活きる領域になります。

④ 感情的な目的。気持ちの安定、決意。

 自分の不安感を解消させたい、或いは、決意を固めたいのであれば、安定感のある人を選びましょう。相対的にいえば、年長者の方がよいです。長く生きた分、乗り越えてきたものがあり、また、不安を生むような小さな拘りを捨ててきて、ある意味枯れている可能性が高いです。また、若いときにスポーツなどで活躍していた人も、メンタルを安定化させるすべを知っているかもしれません。
 そして、何より、信頼のおける大人を選びましょう。自分の不安な部分、内面をのぞかせるのですから、そこはあなたが信頼している人に頼るべきです。