1-8 相談は誰に対して行うのか。その前になぜ相談をするのか

目的を自覚して相談先を決める

 相談は誰に対して行うこともできます。
 上司でもよいし、先輩、後輩、同期でもよいです。顧客や同業他社でもよいです。親や友人、恋人、配偶者や子ども、ネット上の見知らぬ他人でも構いません。ただし、何のために相談をするのか、目的を自覚して相談する先を決めた方が効果的です。

相談する目的

 相談をする目的は大きく以下の二つに分けられるのではないかと思います。

 ・ゴールに近づくため
 ・自身を安定させるため

 ゴールに近づくという目的のなかには、手段、方法を知るという技術的なものと、障害となる敵を取り除いたり、助けてくれる味方を集めるという人間関係的なものがあります。
 一方、自身を安定させるためという目的のなかには、別のアイデアを取り込みつつ自分の考えをまとめるという思考的なものと、自分の気持ちを安定させ、決意を固めるといった感情的なものがあります。

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目的の分類

相談の目的と選ぶべき相談相手の一例

 よく、異性に恋人に関する相談をすると、その相談相手が次の恋人になるという話を聞きます。かといって、全員が全員、相談相手を次の恋人にしようとしているわけではないと思います。
 それでは、相談相手が次の恋人になってしまうような、異性に恋人に関する相談することの効果とは何なのでしょうか。
 まずこの相談の目的で思いつくのは、異性である恋人がどう考えているかについて、異性の意見を求めるという、技術的な相談になります。ただし、恋人と相談相手は所詮別人ですし、専門家でもなければ、他人の気持ちが完璧にわかるわけでもありませんので、多くの効果を求めることは難しいでしょう。
 それよりも、誰かに悩みを話すことで、気持ちを安定させるという感情的な効果の方が大きいように思います。加えて、立場や心情に共感を得て、今後、自分を助けてくれる味方を得ることができるかもしれません。
 そして、味方を得て、感情が安定した状態になったとき、「はて、気持ちをかき乱され、感情が不安定になっていた自分は何であったのか」と疑問が浮かぶでしょう。このように、今の恋人との関係が相対化されることで、より安心して安定した関係という恋人に求めていたものが明確になり、それならば、目の前にいる感情を安定化してくれた相談相手と新たな関係を築いた方が収まり良いという結論に達するのかもしれません。
 この仮説にもとづくと、恋愛に安定感を求めるような場合、相談相手には、人間に対する洞察に優れている人よりも、話をうんうんと静かに聞いて、ときに共感をしてくれる人を選べば、よりよい関係が得られる可能性があることになります。ここで大切になるのは、自分が恋人をどうにかしたいのか、安心感の得られる恋愛をしたいのか、どちらであるかということになります。
 こうしたように、相談相手は、その相談に何を求めているかを知ったうえで、決めていくのが良いと考えます。