1-6 連絡はいつ行うのか

連絡は一、二歩先をみて

 連絡のタイミングは相手にとって最も効果的なタイミングであることが望ましいです。
 とはいえ、それを正確に計ることは難しく、あまり正確に計ろうとするのも非効率で、気の使い過ぎでしょう。このため、感覚的には一、二歩先の状況を予測するようなタイミングで連絡をするのがよいと思います。
 一、二歩が、具体的には何日かという基準は、その仕事が回っていく周期によります。週単位で回っているのであれば、二~三週間程度先の情報を。四半期単位で回っていくのであれば、半年後の情報を提供するのが適当であると思います。このタイミングであれば、この後の周期の計画に織り込んだり、後々、有利に展開させるための布石を打つことができます。

報告タイミングとの違い

 この連絡タイミングを計るというのは、なるべく早く行うべきであった報告タイミングとは異なります。報告は区切りをつけるためのものであり、主に過去に行ったことの整理を行うものです。過去のことですので、素早く整理をして、次に進むための土台を整えなければなりません。
 一方、連絡は将来の影響を把握するためのものです。将来は不確かで様々な分岐がありえます。それを見通すために、可能な限り多くの情報を集め、それらをすべて紙して予想しようとしても、人間の能力も、持っている時間も、それを十分に処理しきることができる余裕はありません。この状況では、確度の低い情報や、影響が未来過ぎる情報というのは、逆にノイズになってしまい、人間の処理効率を落としてしまいます。
 処理効率をあげるためには、ある程度、確度が高く、今の時点で、何か対処に動いた方がよい情報にフォーカスした方がよいです。こうした相手の都合を考えると、一、二歩先というのがほど良いタイミングになると思います。

連絡遅れへの対処

 それでは、今がよいタイミングではない場合は、どうすべきでしょうか。タイミングを外す場合は、連絡が遅い場合(半歩先、直前に影響がせまっている場合)と、時期尚早な場合(五、六歩先の話の場合)があります。
 まず、連絡が遅れた場合は、速やかに連絡しましょう。
 仮に、連絡する内容が「二日前にこんなミスがあって、顧客からのクレームになりそうだ」という話を窓口の営業担当に伝えるものだとしましょう。営業担当からすれば、二日前に教えてくれよと思うかもしれません。そうすれば先手をとってこちらからフォローの連絡ができたのにと思うかもしれません。それでも、クレームの電話より一分でも前に伝えられていれば意味があります。何も知らずにその顧客から電話が来てしまえば格好のサンドバックになる可能性もあります。しかし、クレームを前提に電話をとることができれば、受け身はとれずとも、ガードをあげて臨むくらいはできます。少なくとも、かかるストレスを多少なりとも軽減して、落ち着いて交渉することが期待できます。
 連絡が遅れたことは、あなたのミスなのでその点を怒られるのは諦めて、次善手をうつようにしてください。

早すぎるタイミングへの対処

 もう一方の時期尚早な場合ですが、連絡するタイミングを決めて、いったん手仕舞ってください。
 手帳でもスケジュールアプリでもよいので、「連絡する」予定を適当なタイミングで記入、登録して、いったん忘れるのです。頭のなかでずっと気にして残しつづけるのは、あなたの脳に対する余計な負担になります。この負担から解放されるために、予定を立てて、いったん終わらせてください。

タイミングがわからないときの対処

 最後に、確度も低いし、いつ影響が出るかもわからないが、発生すると影響が大きそうな情報はどうすればよいでしょうか。
 そういった場合は、「・・・という話を聞いたのだけど、どう扱えばいいと思う?」と相手に相談する体裁をとればよいと思います。相手のリアクションはわかりませんが、情報は伝達できますし、その取捨選択も相手にあずけることができます。相談という体裁をとることで、軽さを出して動きやすくすることができます。
 避けなければいけないのは、情報を止めてしまうことと、情報をあなたのなかに留めることでそれが重荷になることです。なるべく軽い動きで情報を流し、自分が解放されることを目指しましょう。