1-4 報告はなぜ行うのか

報告はなぜ行うのか。何を説明するのか

 報告は、一定の区切りをつけるために行います。
 その最たるものが、完了報告です。完了報告は、文字通り、完了という区切りをつけるために行うものになります。そう考えると、完了報告は、完了条件に対して条件をすべて満たしたことを説明すればよいことになります。
 その際の完了条件は、最初の指示の段階で指示者との間で申し合わせるべきですし、場合によっては完了条件をブレイクダウンしたタスクについても、作業の計画段階ですり合わせをすべきにになります。あらかじめ、完了といった定点の状態と、そこに行きつく手順を合意し、それをすべて実行したことを説明することで、定点に達したことを報告したことになります。そうやって、完了などの区切りに達したことを合意するのが定点報告となります。

時報告の区切りはなにか

 定時報告では、そのタイミングで問題があるのかないのかという状況判断の区切りをつけることになります。また、問題がある場合はどのように対応していくかという判断の区切りをつけることも行います。
 このため、ブレイクダウンしたタスクをスケジュール化し、定時報告のタイミングにおいて、予定通りの進捗になっているかどうか、先行している箇所、遅れている箇所はどこかという報告をあげることになります。また、停滞の原因になっている問題点と対応すべき課題の提示も行います。これらによって状況を共有し、その時点での状況判断について合意を形成ことになります。

突発報告の区切りはなにか

 突発報告であれば、突発的な事象の発生であったり、その原因、影響、対応などの要素ごとに何が判明しているのかに区切りをつけ、状況を共有し、判断を合意していくことになります。
 とはいえ、突発報告については、それが報告すべき事象であるのかどうか、判断に迷うことがあります。
 体調が悪く突発で休暇をとるようなものであれば、労務規定というルールに対するイレギュラーであるため、特に判断に迷うことはありません。一方、顧客からのクレームや、作業の遅延といったイレギュラーが発生し、かつ、それに対して自らがもつ権限とリソースのなかでも対応を進められそうな場合に、あえて報告をあげるかどうかは迷うところになります。

報告しない場合のリスクの把握

 そうした場合は、自身で対応できるかどうかという基準以外に、その件について指示者である上司に、別ルートから照会が入りうるかどうかという基準で判断すべきです。顧客からのクレームであれば、それが顧客側の上司に報告があがり、こちらの上司に直接照会が来ることがありえるかどうかが判断のポイントになります。また、作業の遅延であれば、後日、別の場で上司が説明を求められる立場になりえるかどうかがポイントになります。
 こうした判断のためには、将来、どのように情報が流れる可能性があるかを読む必要があります。別のルートで情報が流れる可能性がある場合、そのときまでにあなたが報告し、情報を伝達しておかないと、情報量の少なさや、報告を受けていないこと自体がキズになってしまい、相手との交渉が不利になりえます。突発事象に対しては、こうしたリスクを回避していくという基準も以って、リスクを想像しながら、情報を伝達した方がよいかどうかの判断が求められます。

報告が受け付けられない場合の対処

 一定の区切りをつけるための報告ですが、指示者の側が、不都合な事実を受け入れず、そんな報告は聞けないと逃げ出したらどうすればよいでしょうか。まずは、無理矢理にでも、「納得はしていないが聞いたといえば聞いた」という事実と証拠を作ることです。打合せをして、説明はしたが聞き入れなかったという議事録を残す、メールをして受信の履歴を残す、電話をして録音を残す、など方法はいくつかあるでしょう。
 もちろん、それだけでは一定の区切りを合意することはできておらず、報告の目的を達成していません。この事態を解消するためには、説明はしたが聞き入れなかったという状況を報告する相手を探すことになります。それは、指示者のさらにうえの上席者に対する突発報告になるかもしれません。それが良いかどうか、どう扱えばよいか、あなたの手に余るようであれば、信頼ができ、経験のある第三者に相談すべきです。
 報告は行う側にとっても必須の行為ですが、裏を返せば受ける側も必ず受けなければならない必須のものになります。納得をしたかしないか、といった心証以上に、聞いたか聞いていないかという事実が大きいのであり、報告を受ける側にも緊張感をもって扱うように促していく必要があります。